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同時通訳と英語スピーキング学習の類似性 & 日本語使用是非論


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<情報提供> Dr. K. Kinoshita(木下和好): YouCanListen 開発者・同時通訳者・元NHK TV・ラジオ 英語教授

<通常スピーキングの脳内プロセス>

スピーキングとは、人が何かを思った瞬間にそれを音声で表現することを意味するが、瞬間的な出来事であっても、脳内で起こることにはプロセス(順序)があり、それがスピーキングメカニズムとなる。

1.

人はまず脳の Creative Area と呼ばれる部分で、何かをイメージする。この「イメージ」は「思い」とか「言いたい内容」と言うこともできる。*人の話を聞いた時に脳に浮かぶイメージは「思い」ではなく「意味」と呼ばれる。

2.

Creative Area で思い浮かべたイメージは、その思考パターンに従って脳のBroca’s Area と呼ばれる部分で音の並び(単語・語順etc)に変換される。この作業は「瞬間英作文」と呼ばれる。この段階で「イメージ」を他人に伝達するための「文」になる(単語1語の場合もある)。

*この段階では「音の並び」と言っても音声ではないので、このままではそのイメージを人に伝えることは出来ない。

3.

次の瞬間、Broca’s Area は音の並びを運動神経パルスに変換し、そのパルスを横隔膜・声帯・舌・唇・下顎に伝える。

4.

横隔膜・声帯・舌・唇・下顎が運動神経パルスに従って動き、空気振動(音声波形)を作り出す。それが空気を伝わって聞く人の耳に届く。ここまでがスピーキングのプロセスとなる。

[ Creative Area ]
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Creative Area でイメージ(言いたい内容)を思い描く

[ Broca’s Area ]
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Broca’s Areaがイメージをその思考パターンに従って即座に音の並び

(単語・語順etc)に変換し同時に音の並びを運動神経パルスに変換する。

[ 横隔膜・声帯・舌・唇・下顎 ]

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横隔膜・声帯・舌・唇・下顎が運動神経パルスを空気振動(音声波形)に変換する。

 <日本語 から英語への同時通訳の脳内プロセス>

同時通訳者が日本語から英語に同時通訳する時のプロセスは、スピーキングプロセスと非常に似ている。唯一の違いは、同時通訳者は自分のCreative Area でイメージ(言いたい内容)を思い浮かべるのではなく、日本語を媒体として言うべきイメージ(内容)が耳を通して外部から注入されることである。一旦イメージが与えられると、その後のプロセスは通常スピーキングと全く同じになる。

1.

音声化すべきイメージ(内容)が、日本語を媒体として耳を通して外部から与えられる。

*同時通訳が時々日常会話より易しく感じられるのは、イメージを自分で作り出す必要がないからだ。

2.

外部から与えられたイメージは、その思考パターンに従って脳のBroca’s Area と呼ばれる部分により音の並び(単語・語順etc)に変換される。この作業は「瞬間英作文」と呼ばれる。

3.

次の瞬間、Broca’s Area は音の並びを運動神経パルスに変換し、そのパルスを横隔膜・声帯・舌・唇・下顎に伝える。

4.

横隔膜・声帯・舌・唇・下顎が運動神経パルスに従って動き、空気振動(音声波形)を作り出す。それが空気を伝わって聞く人の耳に届く。これが同時通訳のプロセスとなる。

[ Incoming Image ]
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イメージ(言いたい内容)が日本語音声を媒体として外部から注入される

[ Broca’s Area ]
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Broca’s Areaがイメージをその思考パターンに従って即座に音の並び

(単語・語順etc)に変換し同時に音の並びを運動神経パルスに変換する。

[ 横隔膜・声帯・舌・唇・下顎 ]

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横隔膜・声帯・舌・唇・下顎が運動神経パルスを空気振動(音声波形)に変換する

YCL学習の脳内プロセス>

YouCanListen の学習プロセスは、同時通訳のプロセスに非常に似ている。唯一の違いは、同時通訳の場合は、英語で表現されるべきイメージ(内容)が、日本語音声を媒体として耳を通して通訳者の脳に注入されるが、YouCanListen の場合は、英語で言うべきイメージ(内容)が日本語文字を媒体として目を通して学習者の脳に注入されることだ。一旦イメージが与えられると、その後のプロセスは通常スピーキングと全く同じになる。

  • YouCanListenの学習プロセスは、日本語から英語への同時通訳のプロセスと同じで、この学びに真剣に取り組んでいただくと、最高レベルのスピーキング力を身に付けることが可能になる。

1.

音声化すべきイメージ(内容)が、日本語文字を媒体として目を通して学習者の脳に注入される。

2.

脳に注入されたイメージを、その思考パターンに従って音の並び(単語・語順etc)に変換する練習をする。こうしてBroca’s Area が活性化されて行く。この練習は「瞬間英作文」の練習と呼ぶことも出来る。

3.

音の並び(単語・語順etc)への変換作業と同時に、Broca’s Area がそれを運動神経パルスに変換し、横隔膜・声帯・舌・唇・下顎に伝えることが出来るように練習する。こうしてBroca’s Area の活性化が更に進み、「スピーキング脳」が完成して行く。

4.

横隔膜・声帯・舌・唇・下顎が運動神経パルスに従って動き、正しい空気振動(音声波形)になる練習をする。これら一連の変換作業が無意識レベルに達した時、思ったことは何でも瞬間的に英語で言えるようになる。

[ Incoming Image ]

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 イメージ(言いたい内容)が日本語文字を媒体として外部から注入される。

[ Broca’s Area ]

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Broca’s Areaがイメージをその思考パターンに従って

即座に音の並び(単語・語順etc)に変換する練習をする。

同時に音の並びを運動神経パルスに変換する練習をする。

[ 横隔膜・声帯・舌・唇・下顎 ]

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横隔膜・声帯・舌・唇・下顎が運動神経パルスを正確に

空気振動(音声波形)に変換できるように練習する。 

  • 英語学習者が、明確で十分な量のイメージとその思考パターンを自ら思いつき、又それらを「音の並び」に返還する方法を自分で考え出すことはほぼ不可能なので、YouCanListen がその学習プロセスを担うことになる。又YouCanListenでは「詳細なイメージとその思考パターン」を提供する手段として日本語を用いている。

<日本語使用の是非論>

Life Context」と「 既知言語」の役割

「ことばを覚える」とはCreative Area で思い描くイメージ(言いたい内容・意味)がその発想パターンに従って音の並びと結合することを意味する。その結合を助けるのが「Life Context(生活状況)」と「既知言語」である。

Life Context とは聞こえて来る音声の意味が生活場面の中に同時に存在している状況を指す。こどもは最初 Life Context だけでことばを覚えて行く。一方「既知言語」とは習得済のことばで、まだ知らない語彙や表現の意味を把握するための道具として使われる。

年令が上がるつれ、新しい語彙や表現を習得して行くプロセスで、Life Contextよりも既知言語への依存度が高まる。9才以下のこどもは、Life Contextだけでことばをドンドン覚えてしまうが、10才以降(特に13以降)は、Life Contextだけでことばの理解度を高めて行くのが難しくなり、「既知言語」の役割が増して行く。

このLife Context から既知言語への依存シフトは、母国語のレベルを上げる場合も外国語を覚える場合も同じである。では日本人が英語のレベルを上げるための「既知言語」は何であろうか?英語をまだ十分把握していない日本人にとっての「既知言語」は日本語であり、英語ということはあり得ない。

13以降の日本人が英語を学ぶにあたり、「日本語不要論」あるいは「日本語使用禁止」を強調すると、Life Context のみが頼りになり、英語の習得に膨大な時間がかかったり、最悪の場合、何年英語漬けの生活をしても英語がほとんど話せないという悲劇を体験することになる。米国に何十年も住んでいるのに、英語を思うように話せない人が多いのは、この理由による。

英語学習にあたり、既知言語である日本語を適切に使うことにより、英語を正確にしかも短期間で習得することが可能になる。YouCanListen が日本語を使っている理由はまさにここにある。

ただし「日本語から英語への翻訳」という練習に陥らないために、制限時間が設けられていて、徹底的に「日本語→イメージ→英語音声」の反復練習をすることが出来るようになっている。