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クイズがテストとは思わず、準備なしで0点を取った学生達


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By Dr. K. Kinoshita(木下和好): YouCanListen 開発者・同時通訳者・元NHK TV・ラジオ 英語教授

<Quizの発音>

クイズが好きな人が多いせいか、テレビのクイズ番組はかなり人気がある。断片的な質問を次から次へと出し、時間制限を設けたり、お手付きで罰則を与えたりして、面白おかしく展開させて行く。時には著名人の知識を試したり、あるいは勝ち抜き戦で「クイズ王」を決定したりもする。友達同士で出し合うクイズの場合は、ほとんどが”riddle(ナゾナゾ)”のようである。

「クイズ」の本来の意味について考える前に、発音に目を向けて見よう。“quiz”は日本では「クイズ[kuiz]」と発音されるが、英語の”qu”には[w]が含まれているので、[k] の直後に [w] の発音が来る。すなわち”quiz”は[kuiz](クイズ)ではなく、[kwiz](クウィズ) となる。日本ではquを含む英単語を発音するとき、ほとんど例外なく[w]を省いてしまう。でも英語として正しく発音したければ、[w]を明確に発音する必要がある。

“quick”    クイック [kuik]         ⇒ [kwik](クウィック)

“quilt”     キルト [kuik]          ⇒ [kwilt] (クウィルト)

“question”  クエスチョン [kuestSon] ⇒ [kwestSEn](クウェスチョン)

“square”   スクエアー [skuea]     ⇒ [skwUEr](スクウェアー)

“squeeze”  スクイズ [skuiz]       ⇒ [skwi:z] (スクウィーズ)

<クイズ番組>

“quiz” という英語を聞いて最初に思い浮かべるのがテレビでのクイズ番組だろう。英英辞典でも”quiz” の定義として”an entertainment in which the general or specific knowledge of the players is tested by a series of questions as a radio or television program”(いくつかの一般的なあるいは特定の問を出題し回答者の知識を試すラジオやテレビの娯楽番組)となっている。

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でも”quiz”には「クイズ番組」以外にいくつかの意味があることを認識している日本人は少ない。

<Quizを出すのが好きな教授>

ある大学で日本語が完璧ではなかった日系アメリカ人の教授が、英語の単語を織り交ぜながら教えていた。新学期が始まった時、その教授は新入生達に「明日の授業でクイズがあるのでそのつもりで」と言った。学生達はとっさにテレビの「クイズ番組」を思い浮かべ、明日は面白い授業になると期待した。でも授業内容と「クイズ」の関連性が良く分からなかったし、どんなナゾナゾなのかを予測することもできなかった。

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翌日の授業の始めに教授は学生達に印刷物を配った。でも良く見ると「ナゾナゾ」ではなく、テスト用紙で5問出題されていた。学生達があわてて「先生、これは何ですか?」と聞くと、教授は「昨日言っておいたquizですよ。準備OK?」と答えた。実は”quiz”は「小テスト」のことだったのだ。楽しい「ナゾナゾ」と思っていた学生達は、誰一人テストの準備をしておらず、多くの学生はその小テストで0点を取ってしまった。

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実は”quiz”には「テレビ等のクイズ番組」以外に「小テスト」や「尋問」という意味があり、英語を話す人達は”quiz”という単語を聞いてすぐに「クイズ番組」を思い浮かべるわけではない。もし学校の先生が授業内容に関連して”quiz”と言えば、学生達はほぼ間違いなく「小テスト」という意味で捕らえる。ただ”quiz”はあくまでもでも「小テスト」を意味し、本格的な“exam / examination(試験)”とは異なる。本格的な「中間試験」は”mid-tern exam”となり、「期末試験」は”final exam” となる。

日本ではいつの間にか「クイズ番組」あるいは「ナゾナゾ」の意味だけになってしまった。

<和製英語のタイプ>

 和製英語には次のような7つのタイプがある。

1 英語として全く使い道がない

2 日本語と英語の合成語

3 発音が本来の英語からかけ離れている

4 本来の英語の意味からずれているか、全く異なる意味を持つ

5 品詞(動名詞とか過去分詞 etc)の使われ方が本来の英語

とは異なる

6 元の英語と同じ意味であると勘違いされている和製英語

7 複数の意味を持つ英語が特定の意味にだけ使われる和製英語

以上の日本独特の英語は、タイプ 3 +4 タイプ 7になる。

<「クイズ」タイプの和製英語>

“quiz”のように、英語では複数の意味があるのに、日本ではそのうちの1つだけの意味として広まってしまった単語は他にも多くあるが、その中で良く使われるのが「ハプニング(happening)」である。日本では「ハプニング」は「予期せずに起こる出来事」という意味で使われており、普通の日常的な出来事に関しは「ハプニング」ということばを使う人はほとんどいない。でも英語の”happening”の第一義的意味は「出来事」であって、「予期せずに起こる」という意味は含まれていない。”happening”の第二義的意味が「奇怪なあるいはゆきあたりばったりの即興的出来事」であるが、日本では後者の意味だけが広まり、しかも「予期せずに起こる」という概念が付加されてしまったようだ。

「マニフェスト(manifest)」も日本では特殊な意味で使われている。”manifest”という英語は、動詞の場合「明白に示す」「感情などを表す」という意味で、名詞の意味は「積荷目録」「乗客名簿」である。ところが日本では「マニフェスト」は「政党や候補者の具体的な公約」という特殊な意味で使われるようになった。

“perform(演じる・実行するetc.)”という動詞の名詞形”performance”の意味も「仕事ぶり、実績、演技・演奏 etc.」であるが、なぜか日本で使われる 「パーフォーマンス」は「人目をひくための行為」を指す言葉になってしまった。

“react(反応する・反抗する)”の名詞形”reaction”も「反応・反発」という意味であるが、日本での「リアクション」には余分な意味が付加され「過度な反応」という意味に使われることが多い。

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